公益財団法人 両備檉園記念財団
理事長 小嶋光信
第44回両備檉(てい)園念財団・奨励賞助成金贈呈式を、10月5日(水)、杜の街グレースオフィス棟の会議室で行いました。
「檉園」(ていえん)は読みも意味も分かる方はなかなかいらっしゃらないでしょうが、「檉」は中国原産の柳の一種(檉柳科)です。両備グループ創業者の松田与三郎翁の雅号が「檉園」で、どんな時代になっても、どんなに大変なことが起こっても、逆風を柳のようにしなやかに受けとめて折れたりしないという意味を込めていたと聞きます。
毎年この式典に臨むとき、当財団の原資は両備グループの主だった企業の配当金によるものですから、お蔭さまで今年も無事に助成ができたとグループ各社に感謝しています。
特にコロナ禍の逆風では公共交通や観光部門が手痛い打撃を受けていましたので、なおさらですが、グループのICT部門やまちづくり部門、くらしづくり部門が頑張ってくれて、無事に配当金を受領することができました。
今回はコロナ禍で研究や活動に苦労されている助成者への応援にコロナ禍特別資金として10百万円加算して、総額では例年の約2倍の23百万円とし、1件当たりの奨励賞の金額を7割増しにして、件数も全申請数の3割、と大幅に増やしました。
式典では、新産業創出研究奨励大賞を岡山大学の喜多村真治さんが受賞され、その内容を講演していただきました。確度の高い研究から今後の事業化が期待できます。
日本は1980年代にはジャパン・アズ・ナンバーワンと言われていましたが、30年間の失われた時代により今や世界の30位くらいまで落ち込んでしまいました。日本に住んでいると気がつきませんが、世界の先進国から取り残されて停滞しているため、研究者の研究費もままならず、さらに優秀な研究者は十分な研究ができない日本を諦めて他国へ行くという頭脳流出が増えています。この研究力の低下は国の発展には大きなマイナスで、少しでもこの問題解決のために岡山の研究者のお役に立てればと思っています。
また、贈呈式の会場では、当財団で助成している(一社)岡山藩郡代 津田永忠顕彰会が小・中学校時代に地元の偉人について知ってもらおうと作成し、岡山県内の全ての小・中学校に無償で配布したDVD「津田永忠ものがたり」も上映されました。この「津田永忠ものがたり」の永忠さん役の声優は、岡山出身の歴史家・磯田道史さんで、岡山の子供たちのために!と快くご協力くださいました。
また、3年後の冬季国体が岡山県で開催されることになり、選手強化のために岡山県スケート連盟と倉敷FSCに国体が終わるまで毎年、選手強化費として助成させていただくことにしました。「晴れの国岡山」と呼ばれる温暖な地域で、初めて冬季国体が行われるのを記念し、さらにこれをバネに高橋大輔さんに続く世界のスケート選手が育ってくれればと願っています。
岡山県や日本の研究や教育、芸術、文化、スポーツがますます発展することを願って、今後も微力ながら当財団で支援していきたいと思っています。