2022年入社式 式辞
自由、平和、そして忠恕!

両備グループ
代表兼CEO 小嶋光信

皆さん、ようこそ両備グループへ、ご入社おめでとうございます。

皆さんは、人生の約1割となる2年間をまさにこのコロナ禍の中で過ごし、リモートによる授業や課外活動の自粛などでなかなか友人にも会えない、今までの学生生活とは全く違った毎日でいろいろ苦労されたと思います。しかしコロナ禍をただの負の遺産とせず、衛生思想・健康思想や安全思想をこれからも持ち続けることが大事です。

その上、今年2月24日に突如としてロシアがウクライナに侵攻したことで、世界の平和が一気に崩れ始めました。目に見えないウイルスと、たった一人の侵略者によって世界中が振り回され危険にさらされるという、いわば「第二の冷戦」が世界中に重くのしかかっています。今まで普通のことと思っていた、どこへでも行ける自由や安心・安全で平和な社会が如何に人生や仕事の上で大事であるかを思い知らされることになりました。

自由と平和という前提で我々は生き続け、安心して仕事ができるのですが、何故、ロシアの指導者は人の命や生活、都市を破壊する戦争をしてまで強者になりたいのか理解できません。国は国民を守るためのもので、国が国民を戦争に駆り出して犠牲にすることは決して許されません。進化論の父と呼ばれるダーウィンは「最も強いものが生き残るのではなく、唯一、生き残ることができるのは変化できるものである」と喝破しています。いまだに独裁国家を夢見て自由で平和な世界へと進化できない国も歴史から滅び去っていくでしょう。

企業は自由と平和な社会があってこそ繁栄でき、その中で時代にあわせて変化し続けることができた企業のみが生き残ると言えるでしょう。

「両備グループの進化の歴史」

両備グループの歴史もまさに変化への挑戦の歴史です。

両備グループの礎である西大寺鐵道が旧国鉄の赤穂線敷設で岐路に立たされた際、先輩たちは輸送力でもスピードでも快適性でも軽便鉄道では敵わないといち早く分析し、軽便鉄道を廃業して当時の最先端の輸送手段だったバス事業への転換で次代をかけました。そうして誕生した両備バスは、マイカー時代の到来でいち早く両備ホールディングスや両備システムズを旗艦とする両備グループ(T&T部門、ICT部門、くらしづくり部門、まちづくり部門、社会貢献部門)という今日の生活総合産業グループへと進化してきました。

事業を多岐にわたり分散することで、グループ全体のリスクを分散し、いつの時代にも逞しく成長する仕組みを取り入れています。

また、企業活動エリアも、岡山の一都市・旧西大寺市から岡山県全体、岡山県から日本全国、そして、日本からベトナムやミャンマー、ラオス等へと国際化を進め、日本の成長力の弱さを補い、進化し続けています。

このコロナ禍で両備グループも松田社長を中心に各部門、ユニットなどのCOOの奮起でこの経営危機を乗り切るという大きな経験を得て、さらに企業の危機管理能力や安全思想や衛生思想を磨き、強い経営体質に変化し続けています。

更に今まで当たり前だったことが当たり前でなくなった時代に対応できるように、2022年の経営方針を「コロナ禍乗り越え事業の再構築 一に改革、二に変革、三に実行徹底を!」として力強く乗り切って行っています。両備グループはいつの時代も進化の手を緩めることはありません。

「進化し続ける両備のノウハウ」

創立以降112年もの間、両備グループが進化し続けることができるのは、両備ならではの経営のノウハウがあるからです。

その中心になるのが経営理念の「忠恕=真心からの思いやり」です。どんな時代でも、誰にでも常に思いやりを持つことが時代や社会が変化しても支持していただけるベースです。

この思いやりを展開して、経営方針は、

① 社会への思いやりとして「社会正義」
② お客様への思いやりとして「お客様第一」
③ 社員への思いやりとして「社員の幸せ」

として、自由で平和な社会があってこその企業活動ですから、しっかりした社会貢献へのベースとして雇用維持や納税等を通じて安定した社会づくりへの貢献が大事です。また自由と平和は民主主義によって達成されるので、選挙権は18歳以上ですから必ず選挙に参加することが大事です。

また我々のお給料を払ってくださっているのはお客様であり、常に「お客様第一」で物事を考える癖をつけてください。

両備グループの真骨頂は、社会のため、お客様のために頑張って、結果として社員が幸せにならなければならないという、企業目的が「社員の幸せ」にあるということです。多くの企業が企業目的を「株主への配当」と言っていますが、もちろん株主への配当は重要ですが、株主と同等に大事なステークホルダーは社員の皆さんです。皆さんがあってこそ企業活動が円滑にできるのです。従って、両備グループには頑張った企業の皆さんには決算賞与が第三の賞与としてあることが特長です。

これらの経営理念と経営方針を基にして経営が行われますが、その経営の特長は、

●信託経営です。

両備の企業は社会の公器として社会から信託を受けているという考えと、その公器の経営の執行はCOOに信託するという考え方です。皆さんの会社やカンパニーのCOOが執行の責任者であり、企業は決して私物化せず、善良に経営管理されるように信託されています。

両備グループには、「たま駅長」を代表とする猫社員が6名(匹)以上いますが、両備グループを評して「任せれば猫も働く両備グループ」と言われているように、任された皆さんは猫も含めて活き活きと活躍しています。

●労使“強存強栄”思想です。

労使という、会社と働く社員の皆さんとは、両備の経営理念と経営方針に従ってそれぞれの目的達成のためにお互いが対等に強い存在で、立場の違いを尊重し認め合うとともに、お互いが繁栄できるよう労使関係を大事にしている、いわば共同経営のパートナーであるということです。他の私鉄グループとは異なる発展ができたのも、この労使“強存強栄”思想のお蔭であると思っています。

「両備の行動規範が推進力」

そして昨今、両備グループの発展にドライブがかかってきていることに「行動規範」があります。

実は、企業の成長のキャスティングボードは「すぐやるか、すぐやらないか」にかかっているのです。「知行合一=良いと思うことは必ず実行する」、すなわち「すぐやる・必ずやる・出来るまでやる」という行動規範「即断即決、三日の原則」が素早い判断とスピード感ある行動として結果を創り出しています。

「社員の評価基準が明確であることがキャリアアップを進める」

また、皆さんを評価する基準が分かりやすいことも大事で、そこに「個人の幸せの方程式=健康×能力×やる気+夢」という方程式の一つ一つの項目が大事であると明確化しています。

まず、人間は健康第一、その上に能力を磨きやる気を発揮することが大事で、夢を持って行動することが皆さんの幸せに通じるのです。いくら健康が2人前で、能力が高く3人前でも、やる気が0なら2×3×0でイコール「ゼロ」なのです。

幸せ感を持っている人は、そうでない人と比べて想像力が3倍、生産性や売り上げが3割以上アップし、健康でうつ病になりにくいという研究があります。

そして、健康は「両備健康づくりセンター」が、能力の開発は「両備グループヒューマントレジャーセンター」が対応して、両備は教育産業かと言われるぐらい「企業即教育体」として、健康維持や能力開発、資格を得るプログラム等が充実していますから、大いに自分を磨いてください。

「グループ代表との3つの約束」

一般的には新卒の3年間の離職率が3~4割と極めて高く、これでは社員の皆さんも会社も幸せにはなりません。両備グループは社員の幸せが目的で、それには長期雇用でキャリアアップして、安心して家庭をつくり子どもたちを生み育てていけなければ少子高齢化の日本の家庭も社会も滅びてしまいます。

両備グループは定着率が良いと言われていますが、新入社員の定着率が上がった一つの要因は、私と皆さんとの3つの約束を皆さんが守ってくれているからだと思っています。

*第一の約束は、「思いやりを持つ」ということです。

私は皆さんに「忠恕」の心が持てそうになかったら、両備グループを希望しない方が良いですよ、とはっきり申し上げていますし、最近では就業規則にも明記されて、理念だけではなく、雇用上の約束という強いものになっています。

「思いやりとは、相手の立場で考えること」で、忠恕という文字は両備グループの創業者である松田与三郎翁の戒名の一部にもあり、その戒名を平たく読み解けば、「空よりも高く、海よりも深く、真心からの思いやりを一生貫いた男です」との意で、まさに両備グループの理念をダビンチコードのように刷り込んであったのです。

*第二の約束は、「3年の我慢」です。

「桃栗三年、柿八年」、また「石の上にも三年」と言うように、初心を忘れず、いろいろなことがあっても3年間は辛抱してください。その代わり、両備グループは必ず3年で一人前になれるよう皆さんを育てあげます。

一般的に、すぐ辞めてしまう原因としては、

・些細なことで叱られた
・思ったような仕事でなく、やる気を失った
・上司や同僚と良い人間関係が結べない

ということのようです。もちろん、不安もあるし、失敗して叱られることもあるでしょうが、3年間は叱られることが仕事だと思ってください。

五日市剛さんという詩人が、「失敗と書いて経験と読む」と言っていますが、まさにその通りです。失敗して叱られたら、「有難うございました」と言える心の広さと逞しさを持ってください。

また、社会人で一番大事なことは、職場の人間関係を築くことで、まず挨拶から始めよ!です。この挨拶という字に答えが込められています。挨拶とは、心を開くという意味で、まず自分から心を開いて飛び込まなければ、挨拶にはなりません。

両備グループの場合は、これから一年間、皆さん方のお兄さん、お姉さん的な年代の先輩が指導員として、日々サポートしてくれます。皆さんも環境が変わって、仕事等で悩むことがあるでしょうが、指導員となった先輩がそれを親身に聞いてくれますので、何でも隠し事をせずに相談してみてください。必ず皆さんに正しい方向と対処の仕方を教えてくれるでしょう。

*第三の約束は、「ご両親やご家族、先生方への感謝の念の発揮」です。

まず、皆さんに実践してもらいたいのは、皆さんをここまで育ててくださったご両親やご家族、先生方にお礼を言って欲しいということです。

今日、帰ってから、また電話でもメールでもLINEでも結構ですから、「今日までありがとうございました。これから社会人として頑張ってやっていきますから、安心してください」と感謝の気持ちを伝えてもらいたいのです。併せて、コロナ禍でも「両備グループは大丈夫だよ」とご両親に伝えて安心してもらってください。

両備グループでは、まず「良き社員」の前に、「良き息子」であり「良き娘」であって欲しいと思います。今までお世話になったご両親にお礼の言葉が言えなければ、見も知らぬお客様に思いやりの気持ちなど持てるはずがありません。

「皆さんへのプレゼント」

今日は皆さんに素晴らしく楽しいプレゼントをします。新入社員の皆さん全員に「両備フレッシュパスポート」を差し上げます。和歌山電鐵の「たま電車ミュージアム号」や岡山電気軌道の「おかでんチャギントン」などの楽しい電車たちや、神戸ベイクルーズの御座船「安宅丸」、国際両備フェリーの「おりんぴあどりーむ せと」をはじめとする小豆島航路のフェリーたち、夢二郷土美術館や夢二生家記念館・少年山荘の入館券、ひるぜん塩釜キャンピングヴィレッジやおかやまガーデンの食事券や、この新しい「杜の街グレース」等々、両備が実現した夢の数々にご家族や友人たちと一緒に触れてみてください。

まず、皆さんやご家族の皆さん方に両備グループの様々な商品やサービスを知ってもらい、ファンになってもらうことが肝心で、自分がファンになって初めて皆さんがお客様に両備グループを心からお勧めできるようになるでしょう。

「売り上げなくして会社なし」というように皆さん一人一人が「全員セールス」する商人(あきんど)であることがコロナ禍を乗り切れるかどうかの大事なポイントの一つです。

「今こそ忠恕!」

コロナ禍やウクライナへのロシアの侵攻などで、今後ますます大事になることは他人を思いやる「忠恕=真心からの思いやり」の発揮です。

コロナ禍での「マスク」や「手洗い・うがい」、「ソーシャルディスタンス」などは、まさに感染リスクをさげるための周囲への「思いやりの発揮」であり、日々、平和を願い自由を守る気持ちで「思いやりの発揮」が重要です。「忠恕の発揮で自由と平和を守り続けることが生き続けることの大前提」です。

今日から皆さんは「両備社員」です。大いに真心からの思いやりを発揮して立派な社会人として素晴らしい社会を一緒に築き上げて行きましょう!

両備グループ