両備グループ代表兼CEO
地域公共交通総合研究所理事長
小嶋光信
「瓢箪から駒」と言いますが、松田グループプレジデントがIPUの三浦体育学部長に「日本で地方公共交通を教える大学がない」と話したことが、大橋学長の耳に入り、それではということで両備グループと地域公共交通総合研究所が協力して同大学のビジネス講座として開設されることになり、2月17日協定書にサインしました。
私は10数年前に岡山経済同友会の「企業と社会」委員長として、岡山大学に「経済経営特殊講義:ボランティアプロフェッサーとオープンカンパニー制度」を提案して採用され、今日まで続いていますが、両備グループ単独での講座は初めてです。
実は両備グループは、一つ一つはそれほど大きな事業ではありませんが、陸海空の人・物・情報を運び、観光にも携わる交通総合産業としては世界でも稀に見る事業の幅広さと総合性を誇っています。それと、地域公共交通の再生実績から生まれた(一財)地域公共交通総合研究所は、再生の方策から実務まで一貫して指南できる、これも世界で唯一の総研だと心ひそかに自負しています。
そして、教育現場の目の前に実際の陸海空の交通現場があり、インターンシップなど実務の研修を受けられる環境が揃えられており、きっと全国の「地方公共交通」の人財養成のお役に立つのではないかと思います。
IPUを訪問して、まず驚いたことは、
1.IPUの意思決定の速さです。世界から見た日本の最大の欠点の一つが全て「結論が遅い」ですが、流石にニュージーランドにも大学を持ち国際化している大学です。両備グループも意思決定が速いことを第一義にしていますが、IPUの意思疎通と意思決定の速さが半端でないのには感心しました。
2.訪問すると皆さんが出迎えてくださって、オープニングセレモニーに同大学の「夢二」の創作ダンスをご披露していただき、両備グループのイメージキャラクターの一つである夢二をしっかり応援していただきました。この心配りはタダモノではありません。
3.安藤忠雄さん設計の同大学のデザインと設備が素晴らしく、まるでミュージアム・ユニバーシティです。コミュニケーションとプレゼンテーション能力が磨かれる仕掛けが教育現場に多彩に取り入れられていて、ニュージーランドや欧米の大学以上の徹底ぶりです。日本の大学に最も欠けている学生の個性と感性が磨かれる教育現場になっています。
4.体育学部のジムや練習道具、選手の健康管理のための近代兵器にはビックリしました。さすが、オリンピック出場選手を何人も育てあげただけはある、と思わせる先端機器とスポーツ科学が取り入れられていて、今後もIPUから素晴らしいスポーツ選手やスポーツ界を担う人財が生まれるだろうと実感しました。
何よりも大橋学長に学内をご案内していただいているときに学生に出会うと、会釈して一人一人に挨拶をされている姿は、学生との目線をしっかり合わせて、学生を一人の人格として接している姿に感心させられました。その上、学生の一人一人がちゃんと挨拶ができるという当たり前であるはずの「社会性」という一番大事な教育が施されていて、まさに「心」のある大学だといえるでしょう。
さて、両備グループも期待を裏切らないように精鋭を送り込んで、人財を育てる一助となるように頑張りましょう!