ミャンマーに最新鋭の冷凍、冷蔵倉庫を起工!

両備グループ代表 兼CEO
小嶋光信

今日、このヤンゴン市のティラワ経済特区に、両備グループとして、冷凍・冷蔵倉庫を起工することになり、初志貫徹できることで感無量です。

私がヤンゴン市を訪れたのは約30年前、岡山経済同友会の産業視察団として、でした。当時のヤンゴン市は、古き良きヨーロッパ調の町並みで、落ち着いた古都の雰囲気を色濃く残していました。初めて見たミャンマーの人々の暮らしは決して豊かではありませんでしたが、シェッダゴン・パゴダを訪れた時、その厳しい生活の中で、パゴダに金箔を貼り付けている人々に出会ったのです。

日本も同じ仏教国ですが、経済的に豊かになったにもかかわらず、ミャンマーの人々ように苦しくても生活費の一部をさいて、みんなの幸せを願って信心する姿を見ることがなくなっていましたので、こんな素晴らしい心を持ったミャンマーの人々のために何かをしたいと心に誓いました。

その後、ご縁があって、ある人を通じてミャンマーから岡山市に留学していたミヤミンハンさんに両備で使っていない社宅を貸してあげたことから、ミヤミンハンさんとお兄さんのタイジーさんとの友好が始まりました。

いつか事業でミャンマーのお役に立とうと思っていた時に、三井物産がヤンゴン市にミンガラドン工業団地を開発することを知りました。多くの日系企業の進出も噂されており、特にミャンマーでは物流事業が遅れているので、ミャンマーの物流の発展と、進出する日系企業の物流にもお役に立てればということで、その工業団地に進出することを決めました。しかし、急に政情が大きく変わり、残念ながらその時は進出を断念することになりました。

最近、やっとミャンマーも経済が開かれることを知り、ミャンマーでは物流のみならず、鉄道やバスという公共交通が極めて遅れているので、その改善や改革の提案もさせていただいていましたが、なかなか事業としてまでは上手く運びませんでした。

そのような中で、ティラワの港湾整備とその背後地の開発が日系企業と日本政府の協力で行なわれるとの情報を得て、このティラワの経済特区で約5ヘクタールの土地を利用させていただいて進出できるチャンスに恵まれました。

両備グループとしては、得意の交通・運輸の中でも、どの分野でミャンマーの発展のお役に立つかを考えて、冷凍・冷蔵倉庫の分野に定めました。事業進出に際しては、アジアにおけるコールドチェーン網を確立することを第一の事業目的としており、昨年、まず手始めとしてベトナムのホーチミン市に最新鋭の大型物流倉庫を稼働したこともあり、遅れている冷凍・冷蔵倉庫の分野でお役に立とうと思いました。

この度の進出にあたり、

  1. 約3万5千平米の9温度帯の保管ができ、ランプウェイで2階までトラックが上がれる、日本においても最先端であり、もちろん、ミャンマーにおいても最新鋭で近代的な鉄筋と鉄骨の冷凍・冷蔵倉庫を建設する。
  2. 冷媒としてフロンが当たり前のミャンマーで、初めてとなる省エネ冷凍システムであり、最新最高率のシステム(NH3/CO2システム)を導入し、年間で125トンの二酸化炭素の排出を削減する、環境に優しい設備の導入を図る。
  3. 電力が安定していないミャンマーでも、安心して冷凍・冷蔵の保管ができるように48時間停電してもバックアップできる補助電源を設備する。
  4. 貸しオフィスの需給バランスがタイトなヤンゴン市において、倉庫を利用していただいたお客様の仕事の効率化で便利なように貸しオフィスを6室併設する。

ことにしました。

両備グループとしては、かなりの先行投資になると思いますが、この様々な温度管理ができる冷凍・冷蔵倉庫ができることによって、より鮮度を保ち、より清潔に付加価値を維持して農水産物を輸出することができるようになり、また、温度管理の必要な輸入品を得ることで、ミャンマーの産業の発展に寄与し、人々の暮らしを少しでも豊かにできれば本当に幸いです。

                              
【ミャンマー倉庫事業概要】

・建築主体: RYOBI MYANMAR DISTRIBUTION SERVICE Co.,LTD
・工事名称: RYOBI MYANMAR DISTRIBUTION SERVICE DC PROJECT
・建築場所: Thilawa SEZ ClassA Development B9
・敷地面積: 50,106㎡(うちPhase1は 25,584㎡使用)
・階  数: 鉄筋コンクリート造+鉄骨造 2階建スロープ式
・延床面積: 34,824㎡
・常温倉庫: 14,963㎡
・定温倉庫:  1,176㎡(2室)
・冷蔵倉庫: 2,409㎡(3室+CHAMBER ROOM+PASS WAY)
・冷凍倉庫: 1,984㎡(3室)
・事務所他: 事務所1,103㎡(8室)、その他食堂、休憩室、機械室など
・車両バース: 53箇所(1階31箇所、2階22箇所)
・外観イメージ: 別紙
・投資金額: 29.7億円(USD1=110円換算)
土地4.13億円、建設19.48億円、その他設備、運転資金
・特   長: SEZ内における保税機能
防塵・防虫・防鼠のためのドックシェルター完備
保管商品に適合した温度帯管理(冷凍、冷蔵、定温、常温)
環境(CO2排出)に適合した最新型冷凍設備(NH3+CO2冷媒)
荷役効率を最適化する設備(スロープによる2階部分車両直接乗り入れ、ドックレベラー16基設置)
・現在までの経緯: 2016年3月投資許可認可、2016年5月現地法人設立
・今後のスケジュール: 2017年2月4日着工、2018年5月竣工

【当初計画との変更事項】

  • 全棟建築→Phase1(今回建設)とPhase2(次回建設、21,522㎡部分)に分割
    理由:投資リスクの分散、温度管理保管や商品加工機能など現地ニーズを確認した上で、Phase2倉庫仕様を決定するため。
  • 建屋→平屋から2階建てへ変更
    理由:コストパフォーマンスを検討、1階部分の断熱効果や、ベトナム倉庫でのノウハウ導入による。
  • 階高→1階7.2m、2階9.2mへ延伸
    理由:高層ラックに対応、保管容積を確保するため。
  • 温度管理帯→冷凍部分を3室、冷蔵部分を3室、定温部分を2室に区分し、最大9温度帯(常温、冷凍×3、冷蔵×3、定温×2)まで対応可能
  • 省エネ冷凍システムの導入→フロン冷媒が一般的であるミャンマーにおいて、最新最高率のシステム(NH3/CO2システム)を導入
    ※ミャンマーにおいては冷凍設備の冷媒はフロンが主流であり、それを省エネ効果のあるアンモニア+二酸化炭素冷媒を使用するハイスペック設備を、今回、当社が導入することで、ミャンマーで使用される冷媒をフロンからアンモニアヘ変えていく効果も狙えます。
    理由:年間125tのCO2(温室効果ガス)削減を行うため。
    ※今回採用のシステムは、ミャンマーにおいては導入第一号。日本国内においても、最高レベルの効率を上げるシステムです。
  • 予備電源→48時間対応の自動バックアップジェネレーター設置
    理由:当初24時間対応を想定していましたが、現地の電源不安定を鑑みて、48時間対応に変更。
  • 事務所→8室に増加(1階×3室、2階×3室、中2階×2室)
    理由:自社使用は2室の予定。増加した事務所は倉庫を利用されるお客様への貸しオフィス(貸室)として想定。

以上

20170204

2017.02.04
両備グループ