両備ホールディングス
社長 小嶋光信
恒例の社内表彰式と共に、第55回のガイド研修発表会を、両備グループ発祥の地であるこの西鉄記念ホールに於いて労使で行った。100周年の節目の年の発表会ということで、何となく今までの発表会より、一層快い緊張感と華やいだ雰囲気に包まれていた。
路線バスも観光バスもマイカー時代の進展に加え、規制緩和と、更に加え高速道路の土日祝1000円割引で急速に業界全体が不振となり、売上を落とした。全国の路線バスは約80%が赤字、観光バス業界はほぼ全社赤字ということで、構造不況が極まったといえる。
苦しいのはバス業界だけでなく、それに携わる観光関係の業者、特に観光旅館なども瀕死の業界となり、みな苦しんでいる。 先般は、少しでも元気を出してもらおうと、第一回観光旅館公開プレゼンテーションを実施した。出席した旅館のトップの皆さんが、「誘客のためにあれやこれや努力しているが、中々エージェントは値段しか聞いてくれないので、ガッカリしていたところ、こうやって発表できただけでも本望だ」と言ってくださった。ただ発表だけに終わらせるのでなく、これから両備グループあげて強力に販売していく方針だ。
こうやって厳しい業界だが、両備グループでは、良質な観光バス事業の発展のために、バスガイドの自社養成に今後とも力を入れていく。安売りだけの業界とは決別し、素晴らしい心溢れるガイド力で差別化を計っていきたいと思っている。こうやって会社をあげてガイド発表会を続けている観光バス会社は全国でも既に稀だろう。そしてこの熱意、明るさが両備の伝統であり、真骨頂だ。
先日、サルボ両備のお取引の会で沖縄に行って、美ら島観光バスに乗って感激した。ガイドさんの説明はイマイチだったが、その素晴らしい笑顔に感心した。そして民族衣装に着替えたと思ったら、バスの中で歌いながら民族舞踊を披露してくれた。「もう歌うだけではお客様に満足していただけないし、競争会社に勝てません」と健気に笑う明るさに、かえって普天間や大戦の傷が癒えぬ沖縄のみなさんの気持ちが痛いほど感じられた。そして那覇市内の割烹で、宴会になったが、なんとそのバスの運転手さんが蛇味線を弾いて、そのガイドさんやガイドコーチが踊っているではないか。同業者として、彼らが何としてでもお客様を喜ばして上げたいというその努力と気迫に脱帽だ。
ここまで頑張っている観光バスや観光旅館を、何とか努力の報われる事業になるように両備グループあげて頑張りたいと思う。 そして、こうやって厳しい教育を乗り越え、笑顔を絶やさず努力するガイドの皆さんが、頑張りがいがあるように、観光バス事業の新しい需要を作り出して行かなくてはならないと決意を新たにした発表会だった。