両備グループ 代表
小嶋光信
私が両備グループの代表になった12年前、故松田基会長がこよなく愛したこの金甲山レストハウス、蒜山塩釜ロッジ、京山ロープウエーと両備ガーデンをどのようにするかという経営以外の課題があった。経営以外の課題というのは、経営としては継続が難しいが、それでも両備グループとして守っていかなければならない事業という意味だ。 特にこの金甲山は、故松田基会長が亡くなる年まで、毎年お正月には初日の出に参拝された場所であり、私も最後までお供した思い出の場所だった。
金甲山レストハウスは、岡山市から最も近い瀬戸内海を一望できる風光明媚な観光スポットとして、戦後がやっと落ち着き始めた1961年に展望レストランとして開業し、瀬戸大橋完成までの間は結構賑わいのある観光地だった。ところが、瀬戸大橋が出来ると、急速に客足が落ちて、2001年に閉鎖されて、放置されていた。今でも瀬戸大橋から岡山市一体を一望できる素晴らしい場所だが、営業拠点としての存続は不可能であった。
この金甲山は、原始信仰として、古くから児島第一の霊山といわれ、「ひもろぎ」または「神籠石」「いわさか」と呼ばれる祭祀遺跡だ。 神峯(こうのみね)神社が祭られている岩を取り巻くように直系4メートルほどの環状に小石が置かれ、さらに、この岩から東南へ20メートルほど下がったところに、幅1メートル、長さ2メートルほどの「拝石:おがみいし」といわれる平坦な石がある。この石の下手に20人ほどが集まれる広さの平地がある。ここは、その石に「吉備の児島、又の名を建日方別:たてひかたわけ」を迎えて祭り、村の人々は拝石に色々な供物をして祈ったという原始信仰の名残りだ。
レストハウスを壊そうとすれば、この神々の石を傷つけることになるし、そうは言っても廃屋で放置すれば無用心だし、どうすれば良いか迷った挙句、ここを100周年の記念事業として、地域の皆さんの信仰の場となるよう、また市民や観光客のみなさんの展望台として石を傷つけないように改修し、残すことを決意した。
そして改修が終わった昨年末、まさに雨が降りそうな風の強い日に実況見分に上ったら、何とここにも何かと縁のある猫ちゃんが登場、トラ毛の猫2匹と、黒猫が私の到着を待っていた(と思った。)その展望台を上って、神峯神社にお参りしようと階段を上っていくと、何とその3匹の猫も一緒についてきて、私が拝んでいるとチョコンとお座りして、一緒に拝んでくれた。拝んでいると、急に背中が温かくなってきて、何事と思って振り向くと、その曇天の間から太陽がまさに私の背中を照らしていた。全く不思議なことで、やはり神が宿るパワースポットだと感じた。一部始終は私の運転手さんが目撃をしている。
神社を良く見ると、扉が壊され、中が荒らされていたので、これを修復し、今日の奉鎮祭となった次第だ。 今日のお祭りには、社員の皆さんが本当に献身的に草刈と整備や、花を植えて綺麗にしてくれて、感謝している。今後は両備グループの青年重役会やアンダー30という若手幹部候補生が、毎年入れ替わり立ち代り、清掃に、拝礼に訪れてもらい、地域の皆さんと一体になって守っていこうと思っている。また、猫ちゃん達には心優しい女性社員の有志が食事を届けに定期的に行ってくれている。
皆さんも是非この玉野市の岡山市と隣接するパワースポットで、雄大な瀬戸内海と瀬戸大橋と岡山市を一望して、パワーをいただければ幸いだ。 素晴らしい伝統ある獅子舞の奉納に加え、この行事に、同じ地域のご出身の玉野市黒田市長と玉野市教育委員会綱島委員長はじめ八浜町の代表の皆様のご出席に感謝している。