両備ホールディングス
岡山電気軌道
社長 小嶋光信
素晴らしい秋晴れに恵まれた10月1日、両備バス桑野営業所を岡電バスに移管するにあたって、どうしても両社労使による出発式をして、みんなを激励してあげたかった。天気もさることながら、今朝は、岡山高島屋の月初朝礼をして、この式にやって来たが、岡山高島屋の再生もこの5ヵ月で何とか、将来の対策が明確になり、2年数ヵ月ぶりに1%弱だが予算に対しても、前年比でもプラスを出すことができて、すがすがしい気持ちで臨むことが出来た。
両備グループとして、両備バスの市内バス路線を、岡山電気軌道へ移管して、両備バスは郊外路線、岡電バスは市内路線に再編成を行い、岡山駅前の方面別乗り場や、路線のネットワーク化をスムースにすることにした。同じグループとはいえ、お互いに100年の歴史を持ち、いわば育ててきた美田を譲るということは、決して容易なことではない。
移管に当たって、両備バスに指示したことは、
- 赤字の状態で移管しないこと。
- 古いバスを移管するので無く、車齢を標準化して渡すこと。
- 精鋭の乗務員を出向させること。
の3条件で、これらを徹底した。
マイカー時代に、民間経営だけに任せてしまった地方公共交通は、現状のままではラッキョの皮むきのように、一部の黒字路線しか残らなくなる。現状の補助金政策に、明日の地域の公共交通を夢あるように創る力も財源もない。そこで、欧米先進国の交通権や公設民営という手法に期待をかけて、和歌山電鉄や中国バスの再生を通じて、地方公共交通の再生を公設民営方式でと主張していたが、あたかも交通基本法が、財源と共に現実味を帯びてきた。この成立がなければ、10年後には多くの地域で現状の半分以下のネットワークとなり、交通弱者が生活しづらい、機能を失った公共交通しか残らないだろう。
そこで、現状を補助金行政で騙し騙し支えるだけの公共交通から、公共交通を使って地域の夢を生み出し、活性化する具体的な方策として、交通基本法成立での方向性を エコ公共交通大国おかやま構想 で示したかった。
そのためにも、まず自社で出来るお客様の利便性の向上を図るためのステップとして、
- 中鉄バスとの市内路線と空港線の協調運行を平成20年に完了した。
- 両備バス、岡電バスの郊外バス、市内バスへの再編を今回実施した。
- 公募で市内路線を分かりやすい愛称やマスコットに整理する。
- 路面電車を速やかに岡山駅バスターミナルに乗り入れて、電車、バスの方面別を完成させる。
を進めて行く予定だ。
労使で進めた出発式で、両備バスから、岡電バスにしっかり路線が引き継がれた。両備バスの車両に岡電バスと表示され、両備バスの精鋭の乗務員さんたちが、岡電バスに出向し、希望あふれる出発を確認できた。さすがに、両備グループの労使強存共栄が活きていて、一糸乱れぬ両社労使の動きを誇りに思う。