両備グループ代表:CEO
小嶋光信
両備グループが物流団地を手掛けるようになったのは、2004年に竣工した早島のコレクティブタウンからで、今回で2か所目になります。バブル崩壊後全国的に民間主導で大規模開発が行われることは極めて稀だと思います。
初めて取り組んだ早島は、旧両備バスが保有する住宅向けだった8万坪という広大なものでした。私が1999年旧両備バスの社長となり、グループの代表になった時、一つの問題としてこの住宅地開発をどうするかでした。私は以前から旧両備運輸の社長として、岡山県は、
- 交通の拠点性に優れており、産業の優位性は広島県と比べて、特に物流と流通にメリットがあり、中四国や播磨を含めて、1時間圏内の背後人口は550万人、2時間圏内には1260万人を擁する交通結節点として好立地
- 全国的に岡山県南部と北海道旭川の2地点は、地震災害が稀で安全
- 気候が穏やかで雨が少なく、台風、風水害に極めて安心
ということで、何とかこの好立地を地域発展のために活かしたいと思っていました。
そこで、当時の太田副知事(元大阪府知事)に、この岡山県の産業の振興には交通の拠点性を生かす産業の誘致が一番で、岡山県と民間とでプロジェクトを創り、中国、四国地区で対広島県との優位性を分析して、可能性を探ろうと提案しました。
産官協働の研究で、中国地域のトップの広島県と具体的に比較して優位性を論じることは大変わかりやすく、効果的です。一方で刺激的なので果たして行政がウンというかと思いましたが、交通の拠点性についてハッキリと広島県との比較を明らかにできました。ただ好立地だけでは企業の行動は起こりませんが、岡山県に物流、流通を集約して中国地域をカバーするのと、広島県を基地にするのでは、時間もコストも2~3割削減できることが具体的に判明しました。
特に広島県では鳥取県のカバーに非効率で、且つ四国も入れた広範囲となると、岡山県の交通結節点としての優位性は中四国一番と言えるでしょう。
この研究から、早島の土地は、県の流通センターに隣接し、早島インターチェンジまで数分の距離という好立地の上、土地の性質上住宅よりは物流や流通センター向きであり、且つ既に郊外に大きな住宅開発をすることは時代にマッチしないので、住宅団地から、物流、流通団地に切り替えるように旧両備バス不動産部に指示しました。
今まで住宅地開発を主体にしていましたので、物流や流通の団地造成も販売も経験が無く、果たして売れるのかという疑心暗鬼もありましたが、旧両備運輸が1万坪買うという条件で開発をすることにしました。
これが大成功し、両備不動産は物流、流通団地の開発と販売に自信を持てるように成長しました。
そして、早島のコレクティブタウンの売れ行きが好調で、更に開発の必要性が出てきた5年前くらいに、総社のインターチェンジの直近に、早島に匹敵する好立地があると小山常務から報告がありました。果たして多くの地権者が纏まるかの不安がありましたが、既に両備不動産は開発の戦略を持っており、またこの地の物流や流通の誘致は1万坪以上という明確な分析と方針を聞いて、大変成長したと感心しました。
今回の開発で、両備不動産は、この種の大開発をするスキルとノウハウを身に付けたことが今後の大きな成果です。
大開発をするのも大変ですが、この大型物件を販売するのは更に大変です。しかし、このたびアジア最大級の物流施設プロバイダーのグローバル・ロジスティック・プロパティーズの日本法人であるGLプロパティーズ株式会社と成約が出来、総社プロジェクト(仮称)として約1万坪の土地に延べ床面積約2万4千坪のマルチテナント型倉庫を建設し、販売することになりました。
この倉庫は、安全、安心な立地だけでなく、
- 大地震に機能を発揮する免震構造の採用
- これからのゲリラ豪雨や洪水被害から変電設備を守る冠水対策の実施
- 断水、停電時もトイレの使用が出来る地下水供給設備の採用
- 停電時に事務所機能と全館セキュリティー機能をバックアップする非常用電源装置の設置
と安全・安心機能を満載し、しかも災害の少ない地で、災害に強い設備を装備して、日本に万が一の大災害が起こっても機能するだけの対策が取られています。
また、ワンフロア12千平米の5階建てで、大型トラックが各フロアーに直接乗り入れ出来て、作業効率が高いことも、この倉庫の魅力です。
両備グループとして、アジアへの進出をこれから模索していきますが、このような国際級の企業と、国際級の開発が出来るように更に企業力を高めたいと思います。