インド・プネ市のLRT整備事業のアドバイザーとして参画

岡山電気軌道 社長
小嶋光信

2010年5月に両備グループは「エコ公共交通大国おかやま構想」を発表し、次世代の都市環境、生活環境、温暖化対策や高齢化対応のソリューションとしてLRTと電気バスによる都市交通システムを発表しましたが、この構想の方向性を活かせるインド・プネ市におけるLRTによる「エコ・シティ構想」の中で、コンサル事業のアドバイザーとして一員に選ばれることになりました。

国際協力機構(JICA)は、官民連携型(PPP)インフラ事業に関して、2011年度2回目の「協力準備調査(PPP)」で8件の案件を採択し、その中の一つとして選ばれたのが、プネ市都市鉄道整備事業準備調査です。

この調査は、西部マハラシュトラ州プネ市でのLRTプロジェクトを、オリエンタルコンサルタンツと東芝等を軸に、機器納入から運行管理までの一括システムの輸出の拡大につなげ、事業化を図ろうとするものですが、弊社はLRTの運行会社として、このLRTの運行、組織運営に関わるコンサルティングについてアドバイスをさせていただく立場としてアサインされました。

弊社が選ばれた理由は、LRTの運行会社であること、両備グループが公共交通再生に積極的に取り組んでいる実績があること、岡山県とプネ市との友好関係を活かせる企業である等、が評価されたのだと思っています。既にこの夏には岡山県からの要請で、プネ市役所道路部から海外技術研修生を受け入れる予定です。

プネは商都ムンバイの東南に位置し、IT産業の集積する、人口550万人超、同国第8位、世界で60番目の大都市で、これからITを中心に大いに発展が期待されています。

この度アドバイスをさせていただくのは、市の中心部から郊外の工業団地ヒンジャワディITパークまでの14.5キロメートルのLRT事業で、オリエンタルコンサルタンツは8年後の2020年の営業開始を想定されています。

この工業団地には既に20社が立地し、78,000人の人々が働いています。経済の発展のスピードが極めて速く、自転車からオートバイへ、そしてマイカー時代に向けて急速に進展し、既に道路混雑による都市交通の問題を多く抱えています。

総調査費用は、国際協力機構(JICA)が拠出する予定です。駅や軌道の整備には政府開発援助(ODA)を活用する方針で、プネ市もこの調査での事業化を賛成し、実施されることになれば、計画立案企業の参加が義務づけられ、東芝などは地元企業と共同出資で事業運営会社を設立する見通しと言われています。基本的に上下分離による公設民営方式が採られる予定です。

この調査は2012年2月から2013年1月にかけて行われ、弊社の分担として6月と10月に大橋課長を派遣して調査します。もちろん、私や礒野専務も全面的に調査活動をバックアップします。

プネ市都市事業フィジビリティ調査の概要は、プネ市においてLRTシステムの建設・運営を行なうことにより、都市交通を改善することであり、都市環境改善、住民の生活環境改善、環境保全及び温室効果ガスの排出削減に寄与することが目的です。

このプネ市で計画するLRT事業の目的と効果は、奇しくも平成22年5月に両備グループが発表した「エコ公共交通大国おかやま構想」の目的、趣旨に一致するもので、この構想の思いがインド・プネ市でお役に立てばとの期待を持ってアドバイスをさせていただきます。

「エコ公共交通大国構想」は、先進諸国がマイカー社会で便利になった反面、マイカーによる交通混雑や都市環境の悪化を招き、公共交通の衰退で交通弱者と言われる通学の子ども達や運転できないお年寄りのみなさんの交通難民を生んでしまった経験を反面教師として、次世代の都市環境や都市交通へのソリューションとして構想されたものです。これからマイカーが爆発的に増える発展途上の国々へ、同じような道を歩まないように、世界の環境や高齢化に貢献する素晴らしい構想であり、システムになると思っています。

世界に誇れる日本の鉄軌道の技術と運行と管理のノウハウやシステムは、今後の日本の輸出産業として、世界の環境や高齢化社会に貢献できると期待していますし、弊社もその一翼が担えるように企業力を磨く所存です。

岡山電気軌道株式会社