豊橋鉄道と姉妹縁組み- 岡山市内に「おでんしゃ」が走る! –

岡山電気軌道 社長
小嶋光信

豊橋市で、街中を走る市内線は正式名称を豊橋鉄道東田本線と言います。1925年の創業で、その90周年の記念講演に昨年10月に伺って、活発な活動と市民に親しまれている姿に感動しました。なんと私鉄でありながら「市電」と市民に呼ばれており、まちづくりに連携した活動は大変素晴らしいものでした。

岡山電気軌道も「おかでん」「おかでん」と市民に親しまれていますが、私鉄ですから市電とまでは言ってくれません。豊橋鉄道はそれほど豊橋市民に愛され親しまれていることは、むしろ我々が学ばせていただきたいと率直に思いました。

豊橋鉄道の市電は、東海地方で唯一の路面電車となった今日では豊橋のシンボルとして豊橋市シティプロモーションの柱にも位置付けられ、豊橋を語る上で欠かせない存在となっています。

おかでんもいろいろなイベント電車を活発にやっていますが、ビックリしたのは豊橋鉄道の「おでんしゃ」です。電車に敬称がつくのかと一瞬思いましたが、なんと食べる「おでん」の電車だったのです。

珍しい路面電車を活用し、走る電車の中でおでんを食べる「おでんしゃ」が登場したのは平成19年の冬で、以来ユニークなネーミングとコンセプトが好評を博し、毎年多くの方にご乗車いただいているとのことです。

「おでんしゃ」開始当初は、おでんはご当地名物のヤマサではありませんでした。しかし、ヤマサと市電の歴史を知るお客様からは、「豊橋の路面電車でおでんが出るなら当然ヤマサだろう」とのご意見が多く寄せられヤマサになったとのことです。

吉田宿(豊橋)で魚問屋を営んでいたヤマサちくわの祖先佐藤善作さんが、約200年前四国の金比羅様に代参した時売られていたのがちくわでした。なかなか目新しく、食べてみると味もいい。善作さんは帰国するとさっそく製造にとりかかり、こだわりの製造で今日の豊橋の名物になったそうです。キャッチコピーは「昔も今も変わらぬ旨さ」「豊橋名産ヤマサのちくわ」、東海地方ではおなじみのCMです。

これは岡電と豊橋鉄道が姉妹縁組みをして、この「おでんしゃ」を手始めに楽しいイベントの交流をすることがお互いの発展つながるのではと思い、伊藤社長に即座に提案しご快諾をいただいたのが出発点です。

これからお互いの知恵を絞り合いながら、まちづくりなどの地域活性化の起爆剤としてこの路面電車を活かしていこうということで、3月14日におかでんの「KURO」で調印式を行い、この「おでんしゃ」を豊橋鉄道さんとヤマサさんのご協力で初めて運行しました。

土曜日の昼間の開催で果たして申し込みはどうかな?と思いましたが、発表と同時にあっという間に満員で、人気の高さにビックリしました。これは今後の恒例行事として期待出来ると大いに盛り上がりました。「KURO」に「おでんしゃ」の赤い暖簾と提灯が抜群の相性で、雰囲気も素晴らしく、全くおでんの屋台電車です。

おでんは大変親しみやすい食べ物ですが、思った以上に丁寧な対応が必要で、ヤマサの皆さんのご協力でどこまで「おかでん・おでんしゃ」として岡山化出来るかがポイントになりますから、今後のノウハウを創りあげていかなくてはならないでしょう。

取材にきていただいた女性の記者さんたちが「こんな楽しい取材はない!」と言って下さったことが、大変心に残る出来事でした。
この夏に向けて備前焼の風鈴電車を先ず豊橋鉄道に提案しようと思っています。岡山の伝統工芸の備前焼を大いに楽しんでいただいて、岡山のアピールもしていきます

20150314

岡山電気軌道