夢二郷土美術館 館長
和歌山電鐵 社長
小嶋光信
たま駅長の生みの親と言われている私は、以前から大の猫好きと思われていますが、たま駅長に出会うまではバリバリの犬派で、幼い頃から今まで家に犬がいないことはありませんでした。それも不思議なご縁で、和歌山電鐵のお世話をすることになるずっと前から、三代にわたって真っ白な紀州犬です。
2014年の夢二の130回目の生誕日9月16日を挟んで夢二生誕130年記念として様々な催しをしていますが、その10年前の生誕120年の時、夢二芸術を子どもたちに伝えたいと思い、夢二が大変得意とし、子どもが興味を持つ「猫」をサブテーマにしました。
夢二が描いた猫の挿絵を、伝統的な手刷りの木版画で復刻した「猫版画」を使って、またそれを題材に多くの猫グッズも製作して、子どもたちや猫好きのファンにアピールしました。そして私自身もこの夢二の猫版画を通じて、猫に凄く興味を持つようになってきていた、まさにその時、たまちゃんの飼い主さんに、猫小屋の立ち退きをせまられているので、貴志駅にたまちゃんを置いて欲しいと頼まれたのです。そして、たまちゃんに会った瞬間、「この子は貴志駅の駅長だ!」と閃いたのです。私が夢二の猫版画で猫に興味を持っていたので、たま駅長が生まれたと言っても過言ではありません。
それで夢二生誕130年を記念して、この「猫の額のような貴志駅」で「夢二の猫版画」展を入場無料で開催することにしました。
今回の「夢二の猫版画」展には、たま駅長のキャラクターをはじめ、和歌山電鐵の電車や駅舎のデザインを制作してくださった水戸岡鋭治さんが夢二の猫を可愛い「たま駅長」の猫絵として描いてくださったり、会場レイアウトにご協力くださったりと華を添えてくださいました。
たま駅長誕生秘話とも言える夢二の猫版画をぜひお楽しみください。