福山両備タクシー開設の感激

岡山交通 社長 
小嶋光信

7月9日に福山両備タクシーを、岡山交通(株)の社内カンパニー第1号として福山市に開設しました。
これは、3月末に倒産した旧福山交通の乗務員さんなど70名の再出発の日でもありました。今までいろいろ企業再建をしてきましたが、こんなに感激したことは2度目です。

一度目は和歌山電鐵(株)貴志川線を開設した昨年4月で、オープンセレモニーが終わって、伊太祈曽駅で、お二人の老奥様方に手を合わせて拝まれたときです。
「あなたがこの貴志川線を引き受けてくれた会社の社長さんですか。地域の皆は大変感謝しています」と手を合わされました。
思わず胸にぐっとくるものがありました。もう一言「でも大変でも逃げないでくださいね」と釘を刺されたことも忘れられない言葉として今も心に残っています…。

普通では日銭の商売であるタクシーがこんな潰れ方をするものではありませんが、今回は、老舗で評判の良かった、福山市を代表するタクシー会社が、突如3月26日に潰れて、社員は即日解雇され、路頭に迷ったのです。こんな奇っ怪な倒産劇は聞いたことがありません。

その際、JFE出身の総連・広島県連合会のアドバイザーの平川さんが中心になり、JFEスチール福山労組の金尾執行委員長と連携で救済活動を開始され、4月10日、両備グループ労働組合連合会会長で、両備バス労働組合の斎藤委員長と岡山交通労働組合の藤原委員長を通じて支援を要請されてきました。

両備グループ主力の組合代表者二人が私のところに直接頼みにきた案件であり、またあまりにも旧福山交通の社員の皆様が気の毒であったので、

  1. 70名の社員の皆様が結束して、職場の復活を願っていること。
  2. このタクシー会社の復活を主力のお客さまが熱望されていること。
  3. 急な立ち上げができるような営業所用地が探せること。

以上の3つを至急チェックして、確認出来れば支援するということを、岡山交通(株)の大西専務に指示したところ、2日後に土地以外は確認が出来たので、すぐ支援を決めて、平川さんにご連絡しました。

仕事のない状態は物心両面において、耐えることができても2~3カ月前後ということで、まさに秀吉の「三日築城」ではありませんが、グループ各社の協力により、3カ月という驚異的な速さで今日を迎えることができました。

福山でお困りの同じタクシー業界の問題解決に、私共の労使幹部が、我がことのように一丸になって努力していることは、まさに両備グループの経営理念の「忠恕=思いやり」の実践であって、社長として大変誇りに思いました。

先月末、新しい福山両備タクシーの社員全員の研修で、両備グループの経営理念や経営方針、タクシーとして再生するなら「日本一安全でサービスの良いタクシー会社を目指そう」とお話しをしました。
皆さんの目付きが真剣であるだけでなく、「良く助けてくれました」という感謝の気持ちが滲み出ており、皆と握手して回りました際に、その熱き気持ちが握手からびんびん伝わってくるのです。
これは良いタクシー会社として蘇るなと直感しました。

今日ここに新たな出発をするにあたって、あの熱い握手が手の温もりとして残っています。
ぜひこの気持ちを忘れずに、日本一のタクシー会社になれるように、また、お客様に喜ばれて、立派な会社に育つように、頑張りましょうと、感激で胸がいっぱいになりながら挨拶をしました。



岡山交通