夢二郷土美術館
館長 小嶋光信
毎秋恒例となった「こども夢二新聞」の表彰式も13回目となり、今年も125名の応募の中から選ばれた20名の皆さんが受賞されました。
今年の館長賞は、小学校2年生の「くろねこしんぶん」でした。内容は、クロネコが夢二の見どころや訪ねたいところを上手く説明していて、これが小学校2年生?という大変素晴らしい出来栄えでした。
山陽新聞社読者局長さんの読者局長賞を受賞した「すごいよ! 竹久夢二新聞」は、プロの新聞記者の目から見てもまとまりの良い作品となっていました。
優秀賞の3点に加えて、今年はデザイン優秀賞を特別にプラスしました。
何れ劣らぬ良い出来栄えで甲乙つけ難いですが、「子どもの頃の心」を持ち続けたといわれる夢二さんの作品などは、素直な心を持つ子どもたちには良く理解できるようで、いつもながらその着眼点に感心させられます。
今回の入賞者の特徴は、
- 素晴らしい出来栄えの新聞の作者が低学年にまで及んできていること。
- 夢二の特徴を上手く捉えて個性ある新聞になっていること。
- ただ文章や写真を並べた新聞ではなく、上手く夢二のデザインをちりばめて一般の新聞には見られないようなデザイン性に優れた新聞が多かったこと。
- ご兄弟で競い合ってレベルアップして兄弟姉妹で入賞されているケースが見られたこと。
など読み応え、見応えのある新聞になっていました。
郷土・岡山が大好きで、優しいお母さんやお姉さんたちに可愛がられて育った夢二さんの詩や絵画には、たびたび子どもの頃の思い出を題材にしたエピソードや風景等が出ていて、郷土や家族に育まれた思いが伝わってきますが、子どもたちの純粋な目から見ると大人の目で見るよりも、それらがより感じ取れるようです。
心の詩を絵として描いた詩人でもあり、画家であり、デザイナーの草分けであり、素晴らしい工芸も残したマルチアーティストである夢二の素晴らしさを伝える子どもたちが育っていることに喜びを感じるとともに、きっと夢二芸術の「語り部」として育ってくれるだろうと大いに期待が持てる一日となりました。