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奈良・大和路の花寺を巡る 長谷寺の牡丹と室生寺の石楠花

華やかな桜の季節が過ぎると、奈良・大和路は新緑の季節を迎えます。山々はやわらかな緑に包まれ、色鮮やかな花々が古都を彩り始めます。

この時期に訪れたい花寺として知られているのが、「花の御寺(みてら)」と呼ばれる長谷寺と、「女人高野」として親しまれてきた室生寺です。長谷寺では艶やかな牡丹が境内を彩り、室生寺では石楠花(シャクナゲ)が山あいの景色に溶け込むように咲き広がります。

陽光のもとで広がる華やかな景色と、山深い寺に広がる静かな佇まい。二つの寺に咲く花を巡る旅は、日常の喧騒から離れ、季節の移ろいと歴史にゆっくりと向き合う時間を与えてくれます。

登廊を彩る「牡丹」の長谷寺

初瀬山の中腹に本堂を構える長谷寺。仁王門をくぐると、目の前には有名な「登廊(のぼりろう)」が伸びています。下社から中社、上社へと続く399段の石段。屋根付きの回廊を一歩一歩踏みしめるたび、俗世の衣を一枚ずつ脱いでいくような心地よさを覚えます。

4月下旬から5月上旬にかけて、この登廊の周囲を埋め尽くすのが、大輪の牡丹です。 その数、約150種・7,000株。「百花の王」の名にふさわしく、赤、白、薄紅、紫と、絢爛豪華な花弁が新緑のキャンバスに鮮やかに浮かび上がります。平安の昔、宮中の女官たちが憧れ、『万葉集』『源氏物語』『更級日記』数々の物語の舞台ともなったこの場所は、今も変わらず雅な空気を漂わせています。

花の香りに包まれながら登りきった先、国宝の本堂からは、大和の山々が一望できます。そして堂内には、高さ10メートルを超える本尊・十一面観世音菩薩。その慈悲深いお顔を見上げ、静かに手を合わせれば、心がふわりと軽くなるのを感じることでしょう。

■アクセス(長谷寺)
近鉄大阪線「長谷寺」駅下車。徒歩約15分〜20分

深山に気高く咲く、女人高野「室生寺」の石楠花

長谷寺の華やぎから一転、室生川の清流に沿って山深く分け入ると、あたりの空気は静寂へと変わります。室生寺は、かつて高野山が女人禁制であった時代、女性の参詣を許したことから「女人高野」と呼ばれ、篤い信仰を集めてきました。

室生寺を彩るのは、淡い紅色の石楠花(シャクナゲ)です。 牡丹のような派手さはありませんが、深い森の緑の中にポツリ、ポツリと咲くその姿には、凛とした気品と奥ゆかしさが宿ります。

境内の奥へ進むと、屋外に立つものとしては日本最小といわれる国宝・五重塔が現れます。弘法大師が一夜にして建てたという伝説が残るこの塔は、繊細で女性的な美しさを湛えています。長い年月を経た檜皮葺の屋根と、可憐な石楠花の競演は、まるで一幅の日本画を見ているかのよう。 川のせせらぎと鳥の声だけが響く静寂の中、淡い花びらを見つめていると、時が経つのを忘れてしまいます。

■アクセス(室生寺)
近鉄大阪線「室生口大野」駅下車後、「奈良交通バス(室生寺行き)」に乗車し約15分。終点「室生寺」バス停下車、徒歩約5分。
注意点: バスの運行本数は1時間に1本程度(季節・時間帯による)のため、事前の時刻表確認が必須です。

二つの花が織りなす、大和路の美

長谷寺の牡丹と室生寺の石楠花。趣の異なる花に触れることで、大和路の奥行きを改めて感じることができます。千年以上にわたり、人々はこの地で祈りを捧げ、季節の花を愛でてきました。境内をゆっくり歩き、花に目を留めながら歴史に思いを巡らせる時間は、旅の中でも印象深いひとときとなります。

時を重ねて守られてきた大和路の風景を訪ね、季節の花とともに静かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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