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台湾版ブラーノ島「正濱漁港」色彩が躍る港町へのショートトリップ

台湾北部最大の貿易港である基隆(ジーロン)からさらに北西へ進んだ海沿いに位置する正濱漁港(ジョンビン漁港)。この港は、イタリア・ヴェネツィアのブラーノ島を思わせるカラフルな景観から、「台湾版ブラーノ島」と紹介されることもある人気のフォトスポットです。海辺に沿って並ぶ鮮やかな建物群は印象的な景観をつくり出し、散策や写真撮影を楽しめるスポットとして多くの人が訪れています。

正濱漁港の歴史|日本統治時代に整備された北台湾最大の漁業基地

正濱漁港は1934年(昭和9年)、日本統治下の台湾で整備された近代的な漁港として開港しました。当時は北台湾最大規模の漁業基地として機能し、地域経済を支える重要な拠点でした。

1970年代に入ると、大型漁船に対応するため、近隣に「八斗子漁港」が建設されます。これにより漁業の中心機能は次第に移行し、正濱漁港は近海漁業の拠点として規模を縮小しました。

一方でこの変化により、戦前の石造建築や古い造船施設が保存され、現在では歴史的景観として貴重な存在となっています。路地裏の風景はどこか懐かしい印象を受けるかもしれません。

正濱漁港カラープロジェクト|地域再生によって生まれた景観デザイン

フォトスポットとして多くの観光客が訪れるカラフルな港の景観は、2018年に基隆市政府が進めた地域再生プロジェクトによって誕生しました。

このプロジェクトでは、建築家や大学研究者、地域住民、アーティストがワークショップを重ね、港沿いに並ぶ16棟の建物の色彩が決定されています。こうした取り組みによって地域の個性を守りながら、新たな景観価値を創出する事例として評価され、2019年には、国際景観建築士会景観大賞のコミュニティ造営部門優秀賞を受賞しました。

現在では、倉庫や造船所跡を活用したカフェやレストランも増え、港周辺には落ち着いた雰囲気の観光エリアが形成されています。夕刻には、海と空がゆっくりと色を変え、穏やかな港町の表情がいっそう際立ちます。

正濱漁港の見どころ

阿根納造船所跡|産業遺構として残る造船施設

正濱漁港のカラフルな建物群を見渡せる展望エリアの近くには、「阿根納造船所跡」があります。1967年に建設された造船施設で、現在はコンクリートの構造体がむき出しの状態で残され、往時の造船産業の規模を今に伝える産業遺構となっています。

安全上の理由から内部への立ち入りはできませんが、その無機質な造形は、色彩豊かな港町の景観と対照的な存在感を放っています。近年は廃墟スポットとしても人気です。

吉古拉(ジグラ)|漁港に残る食文化

基隆のご当地フードとして知られる「吉古拉(ジグラ)」は、港町の歴史を今に伝える素朴な味わいです。魚のすり身を竹棒に巻き付け、炭火でじっくりと焼き上げて作られる加工食品で、日本統治時代に伝わったちくわが、この地で独自に発展したものとされています。外側は香ばしく、中は弾力のある食感が特徴です。

現在も職人が一本ずつ手作業で焼き上げており、その光景は漁港の日常の一部として受け継がれています。観光で訪れた際には、港の風景とともに味わってみたい一品です。

台北から正濱漁港へのアクセス方法

MRTと高速バス

台北市内からは、MRT「市政府駅」から高速バス1579番を利用します。所要時間は約40〜50分。「正濱漁港」停留所で下車。

台鉄と市内バス

台北駅から台鉄で基隆駅へ。基隆駅からは市内バス101番または103番に乗り継ぎ約15分。タクシー利用の場合は基隆駅から約15分。

港の歴史と現在を静かに感じる場所

台北から日帰りで訪れることができる正濱漁港は、港町の歴史と現在が穏やかに重なり合う場所です。写真撮影やカフェでの休憩を含め、散策の目安は約1〜2時間。旅程に無理なく組み込みやすい立地にあります。

かつて漁業で栄えた港には、今も当時のインフラや町並みの名残が見られます。一方で、地域再生によって整えられた色彩豊かな景観が加わり、過去と現在が自然なかたちで共存しています。潮の匂いとともに歩く時間のなかで、港町の移ろいを静かに感じ取ることができます。

周辺の九份や基隆市街とあわせて巡れば、台湾北部の歴史や港湾文化をより立体的に体感できます。華やかさを前面に出す観光地ではありませんが、土地の記憶に触れるひとときを求める旅に適した港町です。

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